1.康復医学とは

「康復医学」とは、“健康を回復する医学”のことであり、治療医学とはさまざまな点で異なります。傷病後・老後の生活の質を上げ、限りある健康長寿をいかに長く良好な状態ですごすことができるかという視点で、「健康」と「QALY」をキーワードにして研究し、傷病後・老後のリハビリや治療の効果をより高めることをサポートする学問です。
 康復医学は、予防医学・治療医学では行われない療法を基本に、治療のさまたげにならないよう、体にやさしい方法をとります。

 人体の基本的機能(睡眠・血流・体力)を整えるために以下の3点を重視します。

 @ ストレス対策(セロトニン産生の促進・透過性活性)
 A 末梢血管の流動性(微小循環の改善)
 B 抗老化(サルコペニア対策)

 具体的には、東洋古典医学由来の手法を用い、
 ●生薬由来食品 ●薬品由来栄養素 ●自然由来エネルギー(テラヘルツ+フォトン)
を利用して、病理基準とは異なる“康復自己観察基準”を設定し、エビデンス(科学的根拠)のある、多様性を持つものにします。
 なぜ康復基準を作るのか、それは‥‥。健康は一人ひとりの意識がとても大切です。基準を持たない間違った情報や過度の期待はとても危険であ
り、それは時として治療の効果を低下させるものとなりうるからです。

 康復医学は、セルフケアがかなりの部分を占めており、臨床例も数多く存在します。康復法は、病理基準に基づく治療ではなく、安全性とエビデンスを持つ、優しい健康学です。また、康復法は、治療の妨げにならない整体や気功の運動法なども取り入れた、セルフケアを中心とした健康サービス学です。自分で「やる」「できる」ことが最も大切と考えます。


↑上海中医薬大学 康復医学科
 中国において「康復医学」は、すでに「予防医学」「治療医学」と並ぶ3大医学の一つとして位置付けられ、確立されています。中国各地の医学部が康復医学を学び、当然のこととして教科書を保有し、各地域の気候や地域特性、自然や環境の違いを踏まえ、実践医学として体系づけられたそれぞれの康復療法を持っています。また、各地の総合病院には、内科や外科と並列して「康復科」が存在します。

     
↑大学や高等医学院の各種教材    ↑上下巻計1000ページ超
の教科書『臨床康復医学』

2.康復医学学会

 康復医学を確立するためには、エビデンスのある正しい情報として発信することが最も大切であると考えます。康復医学を一つの医療サポートサービスとして体系付け、限りある生命をより楽しく過ごし、老後、傷病後に対して新たな希望を与えるものとしたい。そのために各分野の専門家による研究会――学会の必要性を強く感じ、当学会を創設いたしました。幅広い分野で研究を進め、康復医学を新たな医学として確立させたいと考えます。
 なお、2011年末に上梓しました『康復医学大綱』
(税抜5,600円/微小循環研究所出版局刊)には、さらに詳細な解説と具体的な康復療法を判りやすく纏めてありますので、ぜひご一読いただければ幸いです。

★『康復医学大綱』に関するお問い合わせ及び購入のご希望は、微小循環研究所まで。
  微小循環研究所 
  〔TEL〕
03-5651-2562 
  〔E-mail〕
infobishoujyunkan.co.jp

   

3.康復医学としての予防医学・治療医学の位置付け

   
 医療は、予防医学に始まり治療医学によって完結するものではありません。その先に必ずしも健康があるとは限らないからです。予防医学・治療医学と並行して、傷病後には健康を回復する医学が必要です。

「康復医学」は、予防医学、治療医学では行われない、体にやさしい療法を基本に研究し、老後・傷病後のリハビリや再発防止・合併症の予防の効果をより高めることを目的とした学問です。

 栄養・休養・運動を説く予防医学は、老化や傷病後の回復を早めるという理由でとても重要です。また、早期処置に治療が不可欠なことは言うまでも有馬円。そして、健康医学の医療サポートサービスで“体の生理的なベース”をつくり、再発・合併症を防ぎ、QOL(生活の質)を高めます。この3つの医学の連携が、傷病後の健康回復を早め、再発防止につながるのです。