霊芝の研究


 すべての細胞は微小循環の影響を受け、この影響下にない細胞はありません。このことから康復医学学会では「健康維持の本質は微小循環にある」という主張を繰り返し訴えています。血液循環の最終目的は微小循環なのです。それではその微小循環血流を良くするためにはどうしたら良いのでしょうか?
 康復医学では、微小循環の改善に対しては、その生薬特性、根本解決力など、総合力において「霊芝」(レイシ)に勝るものはないと考えています。霊芝が“生薬の最高峰”と言われる理由は、正にここにあるのです。当学会では長年にわたり霊芝の研究を続けており、そこから様々な病気に対する有効データを得ているのです。(⇒霊芝の効能



 ■ 霊芝 とは
霊芝(Ganoderma lucidum):真菌門担子菌亜門真正担子菌綱帽菌亜綱ヒダナシタケ目マンネンタケ科の一年草のキノコ。霊芝の薬用や分類などに関する記載は、2300年前の中国の最古文献にも見ることができる、大変歴史のあるキノコです。
   

 その中国古典薬学書『神農本草経』において霊芝は、お血(「お」の漢字はヤマイダレの中に「於」)を取る"駆お血"の薬として、「上薬」に分類されています。しかも「霊」(最高の意)の文字を持つ天然薬は他には見られないものです。日本においても、「千代見草」と名づけられ“食せば千齢を延ぶ”貴重な健康長寿の薬草として古典に登場します。一般的な「ニガナ」(苦菜:キク科の多年草)より百倍も苦いと記述されています。€

 霊芝子実体*には六系統の種類があり、それぞれが色分けされた名称(赤芝・黄芝・黒芝・白芝・青芝・紫芝)を持っていますが、『神農本草経』において、一品目が系統分け、品種分けされている生薬は、霊芝以外に見ることはできません。

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*子実体(しじつたい)とは : 菌類が胞子形成のために作る複合的な構造のこと。大型のものを中心に、いわゆるキノコと呼ばれている。


■上薬の中の上薬
「漢方薬は信じるが、霊芝は信じない!?」という人がいます。この人は学識が足りないと言わざるを得ません。逆に、霊芝を信じないなら漢方薬を信じるべきではありません。なぜなら、漢方薬は“生薬を組み合わせた複合処方薬”のことだからです。そして、霊芝は上薬の中の上薬として古来より使われてきた“生薬の最高峰”です。このことを理解する必要があります。
 生薬学に基づいて同定*を行い、長年の研究により成分の分析・安定性を確認し、科学的根拠(エビデンス)を確立した生薬は、霊芝以外にはありません。
(参照:『HM真菌 エビデンス』微小循環研究所 刊)

 人体は、体の条件に関わらずいつも一定した自己の状態を保つ調整能力、ホメオスタシス(生体の恒常性)を持っています。霊芝は、この恒常性の保持・調整作用を基本とし、また毒性(副作用)がない、「温寒」の性質に対しても双方向性に優れている、作用が特定の臓器に限定されない、正常化作用を持っているなど、いわゆるアダプトゲン**としての条件を兼ね備えています。

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*同定(どうてい)とは : 生物の分類に際して,与えられた材料がどの分類群に属するかを判定する作業。しかし、きのこ類の同定・分類はどの特徴を重視するかで、分類体系も別のものになる。手順としては,それが現在知られているどの分類群の変異域に収まるかを鑑定し,その分類群の学名に合わせる。
**アダプトゲンとは : トラウマ・不安・肉体的疲労などのストレスへの抵抗力を高める働きのある天然ハーブの総称で、「体の適応能力を高める物質」を指す。通常の用量では無害で、特定の対象のみではないストレスへの防衛反応を作りだし、身体を正常化する作用を持っているため「夢の薬」といわれることもある。またアダプトゲンは、視床下部-下垂体-副腎皮質系を正常化するといわれている。


■なぜ霊芝なのか
 生薬は、多様性があるからこそ使用する意味があります。康復医学では、治療の分野に属する薬は必要最小限に抑え、上薬を中心に使用します。幸いにも上薬は、日本では薬事法上医薬品類に指定されているものはなく、適切に使用すれば長期間服用しても安全です。また、使用されてきた歴史も長く、治療薬とは異なり体質を改善する穏やかな効果が期待できるため、康復医学に使用するには最適といえます。
 現代医薬学においては、下薬は“毒薬類”に、中薬は“治療薬類”に分類されており、それぞれが医薬品として必要なものです。では上薬とは何なのでしょうか。

 現在、医薬品類として認められていない上薬は、一般的には“滋養”や“強壮”という言葉が使われています。しかし、上薬中の上薬といわれる霊芝は、生薬はもちろん、もはや上薬の域を超えて「生命をつかさどるもの」といっても過言ではありません。そして、古来より医学書に記述されてきた霊芝の効能・効果は、現在、現代医薬学によってさまざまな検証がなされています。特に、霊芝の「寿命」に関する基礎データは、寿命の2つの論拠である ①平均寿命 ②特異寿命(最長寿命)を両方ともクリアしており、これは他の上薬には見られないものなのです。
 上薬中の上薬であり、アダプトゲンであり、そして生命をつかさどる役割を持つ「霊芝」。それはまさしく、康復医学の中心をなすべき役割を担っている生薬ということができるのです。


■霊芝の特異成分
 キノコ類には、以前から数々の有効成分が確認されております。有名なのがβグルカン(β1,3ーグルカン)という多糖類です。特に霊芝やアガリスク、メシマコブなどのβグルカンは、強い免疫賦活作用、制癌作用を持つとして注目が集まっています。
 しかし、霊芝の重要なポイントはβグルカンではありません。霊芝にだけ備わっている
特異成分にあります。霊芝の特異成分「ガノデリン酸(Ganoderic acid)はトリテルペノイド系化合物で、苦みが強く、がん細胞の増殖抑制効果など、様々な有効成分としての薬理活性が報告されています。
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*トリテルペノイドとは : 5個の炭素からなるイソプレン単位が6個以上結合して、30個の炭素原子からなる脂質性の化合物群。霊芝からは、100種以上のトリテルペノイド系化合物が単離されている。


■霊芝の3大作用
 霊芝には、
(1)血液循環の改善 (2)フリーラジカルの除去 (3)免疫の調整
という3つの大きな作用が確認されています。
詳細は<こちら>をご覧ください。


■霊芝の3大産生物質
 霊芝には、血流の改善に大きく関わる「2,3-DPG」、「NO」、「GSH-Px」という3大物質を産生・増加させる作用が確認されています。まさに霊芝は、康復医学の基盤をなすべき生薬ということができるのです。

2,3-DPG (ニサンディーピージー)(2,3-diphospho glycerate;グリセリン2,3-リン酸)
 2,3-DPGは血液中に存在し、赤血球が運搬する酸素を切り離して全身の細胞への酸素供給量を高め細胞の酸欠を改善する働きや、HbA1cの生成を阻害する作用がある物質(解糖体の一種)です。また、2,3-DPGが赤血球の酵素と反応して放出するエネルギーが、赤血球の構造と機能を維持します。
  呼吸により体内に取り込んだ酸素も、2,3-DPG不足や病気、生活習慣、ストレスなどで、細胞に酸素の供給が低下します。酸素を効率よく供給するのが2,3-DPGです。高山地区に住んでいる人々は、この2,3-DPGが体内に多く存在することが知られています(低い酸素濃度に対応して、効率よく酸素供給を行うため)。アスリート達が高地トレーニングをするのは、この2,3-DPGを増やすためです。
  霊芝は、赤血球の2,3-DPG増加作用によって赤血球酸素供給能力改善、赤血球中のエネルギー代謝の調節に対し重要な意義を有しているのです。


NO(Nitric Oxide;一酸化窒素)  
 NO(一酸化窒素)は、血管内皮細胞から産生されます。血管を広げて血流を改善し血圧をコントロールする作用や、柔軟性を持たせて血管を若々しく保つ作用があります。その他、血小板凝集の抑制、酸化ストレスによる内皮障害の抑制(抗酸化)、白血球の内皮細胞への接着の抑制など重要な役割、心臓や血管に関わる様々な疾患の予防や改善効果が期待されています。
 狭心症の発作を抑える薬としてニトログリセリンを使用しますが、これは動脈を拡張させる物質がNOを放出して、血管内の筋肉を弛緩させるからです。
  霊芝の服用により、体内でのNO合成酵素が活性化し、NOの産生が促進されます。NOの増加により毛細血管の内皮細胞が増殖し、血管の修復や血管本数の増加などが現れる事などが報告されています。


GSH-Px(Glutathione Peroxidase;グルタチオンペルオキシダーゼ)
 GSH-Pxは、人間の体内(肝臓)で作られる代謝酵素です。この酵素は自身で抗酸化能を有するほか、非常に強力な抗酸化物質グルタチオンをを活性化させて活性酸素を除去する役割があります。通常の抗酸化物質と比べると、GSH-Pxはただ活性酸素(フリーラジカル)を分解するだけでなく、ここでできた不安定な酸素を水に還元する効能があります。また、酸素をも還元し、さらに活性酸素が作られるを予防することができます(抗酸化食品ではできません)。そのため、GSH-Pxは抗酸化作用を持つ物質の中でも特に強力なものと言われています。
  GSH-Pxの抗酸化能は、人間の体内の必須微量元素であるセレニウム(セレン)に強く依存しているため、セレニウムが欠乏すると、GSH-Pxの効能が減少します。
  霊芝にはセレニウムが含まれており、強いGSH-Px産生促進と活性化作用が見られます。